「きてや」まで引き返して焼き鳥で一杯やるか、「どんどん」でラーメンとおでんを楽しむか・・・など散々悩んだ挙句、蕎麦屋で一杯やっていくことにした。
十日市の「蕎麦屋 香月(かつき)」である。
仕事場のあるマンションから徒歩十秒くらいなのに、「蕎麦を食べる文化」が俺の中にないもんで、「香月」がここに出来てから、まだ一度しか行ったことはない。
でも、蕎麦屋で呑む熱燗って美味いんだよねえ。店主がいい酒をチョイスしてるから。
訪店すると、客は俺ひとりだった。
四人がけのテーブルが三つ、二人がけのテーブルも三つ。計18人ほどがこの店の定員である。シンプルだが清潔で高級感のある店内は落ち着く。
「お好きな席をどうぞ」とのことだったので、入り口に一番近い四人席を広々と使い、さっそく「九頭龍 純米」(福井)の熱燗(一合)600円也と、「蕎麦屋の焼き鳥」650円也を注文。(もうひとつ、「板わさ」も注文したのだが、これは通ってなかった(^^; 俺の滑舌が悪いせいやね、ごめんね)
やっぱ、蕎麦屋の熱燗は美味い。辛味や酸味は抑え気味で、まろやかに喉を通っていく良い酒だ。これを、小さなおちょこでちびちびやりながら、串を通さない蕎麦屋の焼き鳥をつまむ。
一つ一つの肉が普通の焼き鳥より大ぶりだが、じゅうぶん中まで熱が通った肉は香ばしく美味い。店主は若いのに、良い仕事してるなあ。
女二人連れの客もやってきて、だし巻き卵と巻きずしを頼み、二人でそれをつつきながら酒を呑んでいる。
Jazz がずっと流れる店内に、抑え気味に小さな声で話す二人の笑い声が時々漏れて、なんか良い時間だなあ・・・
しかし、この後、店の雰囲気がだんだんと変わってしまう。
男女混合の四人組のサラリーマンがどやどやとやってきて、奥の四人席に座るとわいのわいの言いながらまるで居酒屋気分で呑みだしたのである。
話し声がうるさいのは良いんだよ。なんというてもひっきりなしに注文をするのが見ていてイライラする。醜悪。
女が「蕎麦屋でお酒呑むのおしゃれ」的なことをチラっと言うてたが、お前らの飲み方は違うわ。落ち着け。時間をかけて呑み、味わえ。
最悪なことに、この連中とは別に、今度は男ばかり四人組の若いサラリーマンがやってきて、やっぱり同じようにちょまちょまと注文を繰り返す。もっとゆったりこの雰囲気を楽しめよ、アホどもめ。
というわけで、もう少しのんびりと酒を楽しんでいたかったのだが、さっさと蕎麦を食って帰ることにした。
「十割そば 黒 挽きぐるみ」を一斤、800円也。
ひとつまみの塩も一緒に出てきて、「最初にお塩だけで食べてみてください」と促される。蕎麦を数本だけ皿の端に並べ、上から塩をパラパラ。なるほど。いや、蕎麦経験が圧倒的に不足しているので相対的に良い蕎麦なのかどうなのかの判断はつかないんだけど、美味しい蕎麦だと思う。
ずばばばばと蕎麦を啜る音を響かせながら一気に半分ほど食らい(店でたまたま隣に座った見ず知らずの上品そうなおばあちゃんから「あなたの蕎麦を啜る音は良いわね。私も蕎麦が食べたくなったわ」と言われた経験あり(笑))、熱燗をちろちろやって一休み。それから再びずばばばばば。箸が止まらない。あっという間に食べ終わり、蕎麦湯を楽しんでお暇した。
まあ、前半は良い「蕎麦屋の時間」が楽しめたから良いか(笑)