町田康の「告白」。
読んだのはもう 11年も前だ。今でも俺の「人生 BEST10 書籍」の中に入っているだろう。
考えさせられるものもあるが、難しく考えずにエンターテイメントとして触れても最高に面白い一冊だ。
この間、フタバ図書に行ったら文庫本になった「告白」が平積みになってた。
「お、告白やんけ?なんで今頃文庫分が平積みに?」と思ったのを記念して、6年ほど前にブクログに投稿したレビューをこっちにも転載しとく(笑)
町田康、つまり町田町蔵である。
俺の中では評価の低い男だった。実は彼がパンクバンドをやってた時の楽曲は「メシ喰うな」しか聞いたことがなく、聞いたとたん、こりゃ駄目だ・・・と思った。
スターリンがフェイクカバーした「ワルシャワの幻想」の方が百倍格好良かった。(そう言えば、大槻ケンヂも「メシ喰うな」をカバーしてるね)
・・・が、文筆家としては、彼は天才だったのだなぁ。
実は、彼が「パンク侍、斬られて候」を出した時(すまん。中は読んでません)、「音楽で成功しなかったヤツが文章に逃げて、ふざけたタイトルの本を出した」と蔑んだ視線を送っただけだったんすけど、すんませんでした。あなた様は天才でした。
文章がすごい。
音楽で言うところの「タメ」が無茶苦茶すごい。グッとためてサーっと一気に読み進めさせる。読んでるうちに、身体がウェーブを起こしかねないほどの絶妙なリズム感とパワーだ。
そして、型にはまらない文章構成。関西弁の軽い文体にだまされフンフンと軽やかに読み進んでしまうのだが、実際のところ、なんとも凝った構成になっているのである。一行書くにも、相当脳みそを使わないとこうはいかんやろ。客観描写と主人公の独話・独白がボーダレスに絡み合い見事に組み上げられていく。
この衝撃は、井上ひさしの「吉里吉里人」を読んだ時以来である。
権威主義になっちゃうが、さすが芥川賞作家。この「告白」も谷崎潤一郎賞受賞作である。
物語は、明治時代、実際にあった「河内十人斬り事件」の主犯・城戸熊太郎の一代記。幼少の頃から、事件を起こし自害するまでの一生が独特の文体で描かれてます。
時には「阿呆やなぁ」とあきれ、時には「そうそう。その感覚、俺にもあんねん。」と熊太郎に同化しながら一気に読み切ってしまいました。
これは本当にお薦めです。どうぞ。
#関西弁はほんまにおもろいね。
2005.7.12
電気ウナギ的○○
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電気ウナギ的○○