漫画: 2018年12月アーカイブ

「おひ釣りさま」(とうじたつや著)。多分、少年チャンピオンで連載されている「お一人様女子、必釣日誌。」と銘打った釣り漫画だ。
第1巻は一年で第3版まで出てるので、それなりに人気のある漫画なのだろう。

釣り場での『おひとりさま』の時間を大切にするOL・上条セイラが主人公だ。
一話完結で一人釣りを楽しむ姿が描かれる。話は彼女の釣りをしながらの「独白」で進んでいく。

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最近海釣りを始めたばかりの俺は釣り情報に飢えている。んなもんで、釣り漫画にもガンガン手を出しているのだが、この漫画の主人公は「無表情で寡黙な天才」である。そう、俺の苦手なタイプのキャラだ。
だから、初読のときは「うーん、つまんね」という感想だった。「無表情で寡黙」美女って感情移入できんからなあ。

いつもは他人の前で表情を表に出さない彼女が「釣れた瞬間」だけ「悦っ・・・たまらん」と頬を赤らめるという、こういうのもよくあるパターンだし。
だからこの手の(広義な意味で)「ツンデレ」系の漫画って俺の中では評価低いのよね。

しかし、バスのサイズにはこだわらず、激しいファイトをするチビバスにも「たまらん」と興奮したり(普通の釣り漫画はやっぱり主人公はでっかい魚を釣る)、鯉を釣る女子を「カープ女子」呼ばわりする親父ギャグ感覚、サバゲーから「鯖ゲー」を連想し、子供の前で鯖の首の骨を折り血抜きをする我が道を行く釣りバカぶりなど、徐々に人間味を感じはじめた・・・気もする(笑)

2巻の最後では中学生のときに親友になった子とのエピソードが語られたり、だんだん感情移入がしやすくはなってきているのは事実だ。それに合わせて作品も楽しく読めるようになってきた。

しかし、未だに彼女が「無表情」キャラであることの必然性がわからん。
普通に喜怒哀楽を表現する女の子が、何故か「おひとりさま」の釣りを愛してるって設定の方が意外性があって魅力的じゃないか?

『いそあそび』は、佐藤宏海による日本の漫画作品。『good!アフタヌーン』(講談社)にて、2017年12月号から連載中。- Wikipedia より

これは、俺的には「2018年に出会ったグッドな漫画 第3位」くらいに入る作品である。

絵は美少女同人誌系(ってわかる?)なちょっと俺の苦手系ではあるんだけど、画力があるし、展開も無理がなくて自然な流れで進むし、漫画作品としてけっこうレベル高いと思う。
佐藤宏海という漫画家は知らなかったんだけど、ずいぶんアシスタントとか下積み生活が長かったんじゃないかね?それがようやく結実した感じかな?(パッと出の新人だったりして(^^;)

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「瀬戸内の海辺にある星海町」という舞台設定も瀬戸内海側に住んでる俺には身近だし(ただし、俺の絶対的な勘なんだけど(笑)、この「瀬戸内の町」は備後地区以東の、多分岡山の町がベースじゃないかね?)、何よりキャラ設定がいいね。
冒頭で苦手系の絵柄って書いたけど、それでもなお主な登場人物である「村上 セト」「浦島 六郎」「岬 珠子」の三人は魅力的である。

物語は、社長である父親が失脚し(現在、再起に向けての資金調達のため、一人飛び回っている)、お嬢様育ちから一転「売れ残ったボロい別荘に一人暮らし」という身に没落した「村上 セト」が、別荘の目の前の海から生きていくための食料を調達するのを、地元育ちの「浦島 六郎」がサポートする・・・というもの。

このセトが、一見「ツンデレ系」なんだけど、実際には「自分に厳しい」からツンと冷徹に見えるだけで、ちゃんと自分を助けてくれた人間には(ツンデレ系少女のように照れることなく)素直に礼を言うし、転校先の中学校でもすぐに友達をたくさん作るなど人当たりも良い。
六郎には「早く教えなさいよ」みたいに女王様っぽく命じることはあるんだけど、六郎が困ってたら自然に手助けするしね、いい子なのである。それが良い。

正直、最近の漫画(特にこういう「ノウハウ系」の作品)には「無表情で感情をあまり表に出さず、高い技術をもってるけどコミュ力に問題がある一匹狼的な女」が主人公や準主人公級なものが多くて、「ツンデレ系」には辟易してたのだ。

その点、セトの「ツンの面」というのは「他人にもらった食料は食べない」「自分の食べ物は自分の手で調達する」という徹底した気位だけで、その他の部分では普通のかわいい女の子である。

その気位も、他人への横柄な態度ではなく、もっぱら自分への厳しさという形で具現化されており、それは「腹が減ったら自分で作った銛(包丁+ホウキの柄?)を持って海に飛び込む」という、本来「お嬢様」の対局にある「野生」の行動であり、そのギャップも(猫などの小動物に通じる)可愛さを感じさせるのである。

恋愛要素としては、今のところ、六郎がセトに淡い恋心を抱きつつあり、それを幼馴染の珠子がヤキモキして見ているという程度だが、なんか 2巻の最後にセトのお嬢様時代を知っている謎の男が出てきたな。今後、セト、六郎との三角関係みたいになるんじゃろか?
あんまり恋愛要素は入れず、田舎でのサバイバル生活の話主体でほのぼの進んでほしんだけどな。そして、最後は友人として、六郎や珠子との涙の別れを迎えてほしい。

そうそう。人気が出たからと言ってあんまり連載を引っ張らず、夏から秋にかけての一瞬の邂逅、儚い青春の思い出的に話が終わると、すげえ感動作になると思う。
いや、ファン的にはもちろんいつまでも読んでいたいが、魅力を失って尻すぼみに連載終了という週刊少年ジャンプ的終わらせ方だけはしてほしくないな。

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