「おひ釣りさま」(とうじたつや著)。多分、少年チャンピオンで連載されている「お一人様女子、必釣日誌。」と銘打った釣り漫画だ。
第1巻は一年で第3版まで出てるので、それなりに人気のある漫画なのだろう。
釣り場での『おひとりさま』の時間を大切にするOL・上条セイラが主人公だ。
一話完結で一人釣りを楽しむ姿が描かれる。話は彼女の釣りをしながらの「独白」で進んでいく。
最近海釣りを始めたばかりの俺は釣り情報に飢えている。んなもんで、釣り漫画にもガンガン手を出しているのだが、この漫画の主人公は「無表情で寡黙な天才」である。そう、俺の苦手なタイプのキャラだ。
だから、初読のときは「うーん、つまんね」という感想だった。「無表情で寡黙」美女って感情移入できんからなあ。
いつもは他人の前で表情を表に出さない彼女が「釣れた瞬間」だけ「悦っ・・・たまらん」と頬を赤らめるという、こういうのもよくあるパターンだし。
だからこの手の(広義な意味で)「ツンデレ」系の漫画って俺の中では評価低いのよね。
しかし、バスのサイズにはこだわらず、激しいファイトをするチビバスにも「たまらん」と興奮したり(普通の釣り漫画はやっぱり主人公はでっかい魚を釣る)、鯉を釣る女子を「カープ女子」呼ばわりする親父ギャグ感覚、サバゲーから「鯖ゲー」を連想し、子供の前で鯖の首の骨を折り血抜きをする我が道を行く釣りバカぶりなど、徐々に人間味を感じはじめた・・・気もする(笑)
2巻の最後では中学生のときに親友になった子とのエピソードが語られたり、だんだん感情移入がしやすくはなってきているのは事実だ。それに合わせて作品も楽しく読めるようになってきた。
しかし、未だに彼女が「無表情」キャラであることの必然性がわからん。
普通に喜怒哀楽を表現する女の子が、何故か「おひとりさま」の釣りを愛してるって設定の方が意外性があって魅力的じゃないか?