本とか雑誌の最近のブログ記事

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昨夜 1時すぎに読了。おかげで今日は眠い。
「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成著)である。

2年前に発表された作品だが、すでに舞台化や漫画化がされており、映画化予定とのこと。随分な人気作だったんだな。

俺も去年の「このミステリーがすごい!」大賞に入賞した作品が平積みになっていたのを買った記憶があるので、もう一年くらい寝かせてたんかな?

老眼で活字を読むのがつらくなってきたので、最近は漫画ばかりだったのだが(雑誌すらあまり読まなくなった)、この間から風呂で本を読むようになって。このブログでも書いた「交換殺人には向かない夜」もそうだったんだけど、濡れた手で触ってページをよれよれにしつつ読了した(笑)

本が傷むので風呂で読むのは嫌いだったんだけど、ホントに最近時間がないので。死ぬまでに読む本の数を風呂読みでせっせと増やしているところである(笑)

で、「六人の嘘つきな大学生」だけど、世間の評判どおり(笑)「面白かった」。

就活中に実施されたグループディスカッションで、就活生たちの過去の過ちを告発する不審な文書が見つかる。それによって一人の就活生がその文書を作った犯人とされ去っていくが、8年後、あることをきっかけにこの事件の真相が明らかになる・・・という話。

殺人事件も起きなければ名探偵もいない。事件も「就活生が過去の『お痛』をバラされる」だけの話だ。
正直、冒頭の就活シーンまで(犯人とされた就活生がディスカッションの場を去っていくまで)はダルかった(笑)。なかなかページが進まなかった。
俺が、まともな就職活動をしたことがないからリアリティを感じられないからか?(笑)

が、8年後の真相解明編になるとページをめくるスピードアップ(笑)
「大どんでん返し」というわけではないが、いくつものどんでん返しが繰り返され、伏線が回収されていく。

それに、「推理小説」という部分を除いても、なかなか面白い話だった。
「人間」とは「いい人」「悪い人」と簡単に振り分けられるものではないし、日々の中で良いこともすれば悪いこともする、いい人にだって意地悪な面はあるし、無能に思えても実はある一面では有能なこともあるという当たり前のことがきちんと書き込まれている。結局これが言いたい物語だったんだな(笑)

俺は、犯人とされた男の貸し倉庫の床から発見された告発状のシーンが一番震えた(笑)

この浅倉秋成という作家、ロジカルモンスターと呼ばれているらしい(笑)。他の作品も読んでみたい。

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岩国のフタバ図書で中古本の「交換殺人には向かない夜」(東川篤哉著)を購入した。

最近、忙しくて全然本が読めない。というか、仕事も忙しいんだけど、それ以上に「チェックしているドラマが多すぎる」のも本を読む時間がない原因だ(^^;;;
老眼で活字が読みづらくなったのもあって、すっかりテレビっ子になってしまった(^^;;

しかし、ここのところ仕事上のトラブルでバタバタしていて、なんか精神的に疲れ、そこそこ集中して嫌なことが忘れられそうな軽い本が読みたくなった。で、仕事帰りにフタバに寄って表紙のイラストが軽そうな「交換殺人には向かない夜」を買ったのである。作者が広島県尾道市出身というのもなんか親近感あったし。山口県民だけど(笑)

で、この三日間、まったくドラマの録画チェックもせず、読了(笑)。面白かった(笑)

まあ、推理小説としてはご都合主義なところも多々あってイマイチ納得できないところもあるんだけど、伏線と、その回収が凄い。
女刑事のバイクの運転の荒さとか・・・な(笑)

もう、18年前に書かれた話なので、市町村合併がらみの話とか、多分、今どきの若者がいきなり飛びついても面白くないかもしれないが、おっさんは面白かったし、ところどころテレビで喜劇を見ているようなギャグまじりの作風は疲れた脳みそに心地よかった。

ああ、「学ばない探偵たちの学園」の作者なのか。これは新刊が大竹のフタバにあるのを見たような・・・
中古本では作者の懐にお金が入らないからな。今度は新刊でこの作者の作品をなにか買おう。

<追記>
そういえば、「謎解きはディナーのあとで」を読んだことあるわ(笑)

本当に数年ぶりだった。

日曜日は昼から玖珂で行われたアマチュアバンドのイベントに出かけたのだが、会場であるこどもの館の駐車場は満車。しばらく待っていたら一台空いたのだが、あとから来た黒いミニバンに競り負け・・・撤退・・・(^^;;

悲しい気持ちでそのまま帰るのもなんだったので、それこそ 3~4年ぶりに図書館に寄っていくことにした。最近カメラ遊びを復活したので写真集でも観ていこうかと。

・・・が、玖珂図書館。なんか寂しい感じ。休館?廃墟っぽい匂いがする・・・。入り口に貼り紙が・・・

『玖珂図書館は10月5日(月)から総合センター「奏」内へ移転しました』

えええ???そうなん???知らんかった(^^;
で、「奏(かなで)」に行ってみると、入り口に図書館開館中の看板。ああ、この看板「奏」に来るたびに見てたわ(笑)。開館中とか閉館中とか。図書館のことだったのか。「奏」にも選挙の期日前投票でしか来んから、目には入っていたけど内容を全然理解してなかったわ(^^;

20230416_tosyokan1.jpg人間、興味がないものは、見ても脳に入って来んもんじゃね。(言うてる場合か(^^;)

というわけで久しぶりに図書館。娘が小学生のときはちょくちょく来てたが、あれからホンマに 3~4年は来てなかった。

館内で「バガボンド」の 27、28巻読んで(確か、この吉岡流との対決の終盤あたりから読んでなかったんよなあ・・・もう、最後に読んだの 15,6年前なんでよく覚えてないけど(^^; 連載再開して、巌流島の対決が見れるのはいつの日か・・・(^^;;;)、それから単行本を一冊と、写真集を一冊借りることに。

んが、当然のように図書館カードがない・・・
いつも財布に入れていたのだが、いつだったか邪魔になるのでどこかに仕舞ったか、処分したか・・・

受付で再発行をお願いしたが、「手数料が 100円かかるので、今日は『カード忘れ』で処理しておきますね。もう一度探してみてください」と言っていただき、家に帰って自分の部屋(たった 2畳!!)を探してみたが発見出来ず・・・
まあ、少し机の上がきれいになったのはよかった(笑)

次回、返却に行ったときに再発行してもらわないといかんな・・・
『ブックカバーチャレンジ』4日目は「ワールド タンク ミュージアム図鑑」。

「泥まみれの虎 宮崎駿の妄想ノート」とどっちにしようか迷ったんですが、「ワールド タンク ミュージアム図鑑」の方が「トイレの友」にすることが多いので、やっぱこっちで(笑)

ええと、俺は「絶対戦争反対論者」であります。どんな理由であれ戦争になった時点で政治の敗北だと思うので(ただし、局地紛争は現実論で認めてます)、勝とうが負けようがその時点で政権にいた政治家、高級官僚は、戦争終了後は反逆罪で全員牢屋にぶち込めと思っております。戦争に勝ってもよ←ここ大事。

が、戦車は大好きなのです(笑)。特に第二次世界大戦時のドイツ戦車ね。
中学生の頃一番のめり込んで、タミヤの 1/35プラモデルをよく作ってましたよ。勉強もせずに(^^;

よく、「兵器が好きなやつは戦争が好き」とか「戦争までのハードルが低い」とか言う人がいますが、まったくの「トンデモ論」ですね。そういう短絡思考なやつこそが戦争を起こすんですよ。

ああ、話が変な方向に行ってしまった(^^;。本の話ね。

で、この本。「ワールド タンク ミュージアム図鑑」ですが、これはね、2002~2006年頃にタカラトミーが発売していたミニチュア戦車の食玩についていた説明書をまとめたものなんです。

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この「ワールド タンク ミュージアム(WORLD TANK MUSEUM)シリーズ」(略して WTM)のミニチュア戦車はあの海洋堂が作っていたので精度もフォルムもなかなかの出来で人気があったんですが、それと同じくらい人気があったのが、同梱されている戦車の説明書。モリナガ・ヨウ画伯のイラストに、小さな字で書かれたウンチク(笑)

この本の表紙になってるのが「ティーガーI型」の説明。「ドイツ軍の車内灯は青かったそうだ」みたいなどうでもいいウンチク、他で読んだことが無いよ(笑)。面白いでしょ?いや、面白いんです!(キッパリ)

実は俺はこの食玩が発売されていた頃が一番仕事に没頭していて、独立して会社を作ったのも 2004年だから、WTM販売時期のど真ん中。この頃は本当に仕事人間で食玩とかにも全然興味なかったんですよ。

で、WTM が販売終了してから 10年近く経った 2014~2015年頃に突如として俺の中に30数年ぶりの「第二次戦車ブーム」がやってきまして、中古の玩具とかを扱っている店に行っては、WTM のミニチュア戦車を買ってました。けっこう希少価値のあるモデルは千円以上してましたけど、そこは大人の経済力で(笑)

でも、中古なので、買ってみたらこの説明書が入ってない場合もあるわけですよ。だからといって、同じ戦車をまた買おうとは思わないわけで(種類が多いんで)、ああ、でも説明書読みたいなあ・・・と思ってた時に出会ったのがこの本。
その説明書をまとめた本だったんです。最高(笑)

ほんと、モリナガ・ヨウ画伯のイラストも、ウンチク話もどっちも素晴らしいです。
ま、戦車に興味が無い人にはまったく面白くない本だと思いますが、あえて紹介を・・・(笑)

Facebook でやってる『ブックカバーチャレンジ』3日目用に書いたやつ。(すっかり 2日目で止まってて、ほぼほぼ1ヶ月ぶりに書きましたわ(笑))

しかし、今まで読んだ本の中から 7冊だけ紹介というのは難しいですなあ。
「1冊だけ!」ならまだ「1冊だけなんて無理無理。適当にこれでも紹介しとくか」って開き直れるというか投げやりに行けるんだけど、7冊となると何か絞れそうで、実際は絞れなくて(^^;、悩むなあ。

で、3冊めの本は、ノーマン・マクリーン著「マクリーンの川」です。

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ブラッド・ピット主演の映画「リバー・ランズ・スルー・イット」の原作です。原題は映画と同じ "A RIVER RUNS THROUGH IT" 。「川は流れつづける」みたいな感じですかね?それがなんで「マクリーンの川」になるのか?
翻訳タイトルはあまり良いとは思わないです。(渡辺利雄氏による本編の訳は悪くないと思いますが)

「わたしたちの家族では、宗教とフライ・フィッシングのあいだに、はっきりとした境界線はなかった。」という一文から始まる物語は、モンタナ州西部の、マスが棲む渓流の合流点にある田舎街を舞台にした家族の話。マクリーンの自伝ですね。簡単に言い切っちゃうと、若くして死んだ弟の思い出話。

既に家族を持ち、妻と幼い子を愛し真面目に働く長男のマクリーン。家を出て、ゴシップ紙の記者をしながら酒と博打にのめり込む弟・ポール。そして二人が幼い時から、厳しく神の世界とフライ・フィッシングについて教えてきた牧師の父。家族を愛す母。

マクリーンは、世間的には「駄目な弟」と言われるポールが自分よりも両親の愛を多く受けていると感じています。ポールは、どうして自分は兄のようにきちんとした人生が送れないのかと悩んでいます。両親は二人の息子を平等に愛していますが、ふとした時に「出来の悪い子ほどかわいい」という思いが漏れてしまいます。

表面的には上手く付き合っているように見える家族ですが、少しずつ気持ちのすれ違いも起きています。

そんな中、父と息子二人でフライ・フィッシングに出かけた渓流で、ポールが「神のリズム」で大物を釣り上げたことで三人は高揚し、肩を抱き合い、また家族の絆を強めます。
しかし、三人で釣りに行ったのはこれが最後。翌年ポールは賭博でのいかさま行為が原因で非業の死を遂げてしまいます・・・という話。それでも変わらず川は流れつづけるってね。

あ、全部ネタバレしちゃった(笑)
でも、大丈夫です。俺、先に映画を観てどういう話なのか知ってから本を読んだけど全然面白かったですから。だって、7冊の本の中の一冊として紹介するくらいですからね。

映画で、まだ若かった頃のブラッド・ピット(美青年)が、渓流のキラキラとした水影の中で「神のリズム」でフライロッドを振る姿は、兄が見とれ「フライ・フィッシングをする弟は神に愛されている」と思ってしまうほどの美しさです。
先に映画を観て本を読むと、この美しい映像が読者の想像する画の中にいい具合に挿入されて面白さ倍増ですわ。

フライ・フィッシング好きはぜひお読みください(笑)。
フライ・フィッシングは神から与えられたものであり、遠くにフライを飛ばすために頭上で弧を描くようにラインを操るロッドの動きは「神のリズム」なのですぞ(笑)
Facebook でやってる『ブックカバーチャレンジ』2日目のネタにしようと思って書いてみました。

今回の本は「宇宙戦艦ヤマト」石津嵐著(豊田有恒・原案)です。

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ソノラマ文庫の記念すべき一冊目の本です。
全然手に入らない希少本ではないので、Amazon とかでも中古本が手に入ります。

この文庫本を買ったのは中学生のときです。何年か前に実家の本棚に残っていたのをサルベージしました(笑)。ちなみにその本棚、数年後に、中に残っていた本ごと親父が捨ててしまったので、本当に間一髪でしたよ(笑)

この本が発行されたのは俺が小学4年か 5年の時なので、中学生の時にはすでに古本屋に並んでて、100円で購入しました。まあ、定価も 300円ですけど。なにせちょうど 40年前のことなので。

で、この本、アニメのノベライズ・・・というわけではないです。ヤマトの原案作成には SF 作家の豊田有恒が参加してたんですが、その彼の原案を元にしているので、アニメとは微妙に内容が違います。いや、「微妙」にではないな(^^;

ここからネタバレになるので、この本買って読んでみようと思ってる人はここで読むのをやめましょう(笑)

アニメ版との違い

  • 登場人物の名前が微妙に・・・(古代進→古代ススム、真田志郎→真田佐助など)
  • 汚い星がイスカンダルで、きれいな方がガミラス
  • 島大助(アニメでは大介)が序盤で森雪にふられてガミラス軍に特攻して死亡
  • 島そっくりのガミラス製アンドロイドが真田を撲殺し、乗組員 50人以上を毒殺(^^;
  • そのため、イスカンダルに着いた時のヤマトの乗組員は数名
  • 地球を救う手段が放射能除去ではなく人体改造(人間を汚れた地球で生きられる生物に改造)
  • 沖田艦長、数名の乗組員とともにヤマトでイスカンダルのコンピュータ(スターシャ)に特攻
  • 地球に帰った(無事着いたかは不明)のは古代と森雪だけ。

って感じで、他にもガミラス星人の正体とか、ヤマトが飛び立つまでの地球の様子とか、古代守の艦が「ミサイル艦 ゆきかぜ」ではなく「駆逐艇 ゴッド・ウインド」だったり、キャプテン・ハーロックが出てきたり(これは松本零士版コミックと一緒か)、違和感だらけ。
今でこそ、この違和感を楽しめるんだけど、当時は「何?これ、パチもん?」ということで、すぐに若桜木虔著のアニメノベライズ版「宇宙戦艦ヤマト」を買ったんだよなあ。

で、話は変わるんですけど、この二冊と、もう一冊「宇宙戦艦ヤマト」の小説が存在していたはずなんです。
石津嵐版以上に違和感あるやつが。というのが、島大介の名前が篠田某だったり(他の乗組員の名前も、古代、森、沖田以外は全然違ってた)、ヤマトが最初から最後まで(アニメでは冥王星の戦いのあとにちょっと出てきただけの)アステロイドシップ状態で航海してたり(なので、挿絵見てもヤマトっぽくなくてつまんない(笑))、そういうのがあったはずなんですよね。

ただ、この本とノベライズ版は高校生の頃、古本屋に売っちゃったので・・・
ノベライズ版は今でも手に入るんですけど、このアステロイドシップ版がググっても出てこないんすよ。

なんか、情報をお持ちの方はご一報ください(10年以上前から気になってて(^^;)
このブログでも何度か触れたことがあるけど、日本を代表するアウトドア雑誌が BE-PAL(ビーパル)だ。

定期購読はしてないんだけど(一時期あまりに「おしゃれなキャンプ」的記事が増えて、「こんなの、本当のアウトドアじゃねえ」と反感もってたし(笑))、ここ何年かはほぼ毎号買い続けている。年取って、お金に少し余裕が出てくると、「おしゃれなキャンプ」も容認できちゃうのよ(笑)。そういうアイテムも買えるようになって。

ところが先月、電車通勤のときはほぼ寄る横川駅前のフタバ書店に、全然 BE-PAL が並ばないのである。
「なんでだろう?もしかして休刊?いや、そんなことはないだろうが、豪華な付録付けるために合併号とかにするんかね?」などと不思議には思ったんだけど、上に書いたように欠かさず買っているわけでもないので、「ま、いっか」とそのまま放置していた。

しかし、これ、どうも俺が何日か車通勤をしてフタバ書店に寄らなかった間に「発売」→「即完売」となったようなのだ。

理由は、付録「ミニ焚き火台」の人気のためらしい。手に乗るような小さな焚き火台らしいのだが、これが大人気で一気に売れてしまったようだ。

俺も最近になって「え?4月号の付録、焚き火台だったんや。へえ、ポケットに入れて持ち歩ける焚き火台、いいなぁ」とバックナンバーを買おうとした。
ところが、どうも 4月号は完売のようでバックナンバーも手に入らないのだ。

こうなるとすげえ欲しくなって、Amazon で見てみたら「プレミアム商品なので」と、安くても 2,800円する(笑)
本屋がやってるオンラインショップなどでは、軒並み「現在お取り扱いできません」状態のようだ(^^;
ひどい(^^; さすがに一気に購入意欲はなくなった(笑)

2,000円以内で買える小型焚き火台(ネイチャーストーブ等)はいくらでもあるからなあ。そして、多分、付録のミニ焚き火台より一回り、二回り大きくはなるが、焚き火台としての機能はそっちのほうが絶対上である。付録のものほど小さいと、うまく火は燃えんと思うよ。

それに俺、すでに UNIFLAME のネイチャーストーブ(683033)を持っていた(笑)
最近使ってないんで、すっかり忘れてたけど。
これで十分「焚き火欲」は満たされる。CDケースほどの大きさだから、携帯性も十分だしね。800円くらいの雑誌を 2,800円も出して買うなんて馬鹿なことをする必要はなかった(笑)

危ないところだった・・・

推理小説作家・内田康夫氏が、13日に亡くなっていたようだ。

ちょうど、1990年代、20代後半から30代の頃にかけて、「浅見光彦シリーズ」にハマっていたなあ。

弟や、その友人。結婚してからは嫁さんなんかもハマってて、誰かが新作買ってきたら奪い合うように回し読みしてたなあ(笑)
まあ、1990年代後半あたりから、すっかり「推理小説」としての魅力は無くなってたんだけど(^^; 浅見光彦のドタバタ記的に読んでただけな気もする(笑)

内田氏本人がどっかのインタビューか文庫本のあとがきあたりで語っていたと思うが、途中から内田氏は浅見光彦シリーズをろくなプロットもなく書き出す・・・という制作スタイルを取り始めた。「取り敢えず書き始めたら、あとはキャラが勝手に動いてくれるんですよ」とか言いながら「ご都合主義」の、俺の感覚から言うと「推理小説とは呼べない」レベルの作品を連発するようになる。

正直、こういう制作スタイルで「推理小説」の名作が生まれる可能性はかなり低い。
俺は、推理小説というのは作者と読者の騙し合いだと思っている。作者は物語序盤からきちんと「犯人に結びつく伏線を正々堂々と提示し」、それでいて最後のどんでん返しまできれいに読者をミスリードしていく物語展開をもっている物のみが「推理小説」と呼ぶことが出来る本物の作品だと思っている。

ところが、「取り敢えず書き出した」作品はそういう「作者と読者の騙し合い」「読者が推理を働かせる余地をもった展開」といった要素が希薄で、単なる「他人(物語の主人公)が推理をしていく過程を見るだけのルポ小説」・・・いや、「他人の推理」すらない、「なんか偶然証拠が見つかって、犯人が逮捕されるまでのルポ小説」でしかなくなる。浅見光彦シリーズが(他の内田氏の作品はそんなに読んでないのでわからず)まさにそういう作品に堕ちていた。

「取材旅行」と称して物見遊山な旅をし、一応作品にしとかないと出版社から取材費出んし・・・的に無理矢理作品にしてたんじゃないかと疑うレベルだった(^^;

だから、後半の浅見光彦シリーズしか知らない人は、俺がそのシリーズのファンだとか言うと「え?あんな、西村京太郎氏や山村美紗氏レベルの推理小説とも呼べないような作品が好きなの?よくそれで推理小説ファンだとか言うなあ」とか思っちゃうだろう。ま、その辺りは容易に想像できたので、推理小説ファンなんかと話をする時は、「そうですねえ。新本格ミステリー系が好きなんで、綾辻行人とかあの辺が好きかなあ」なんて答えていたのだ(笑)

・・・が、初期の浅見光彦シリーズには実際名作が多かったのだ。
一作目の「後鳥羽伝説殺人事件」、二作目の「平家伝説殺人事件」あたりは是非読んでみてほしい。とくに「平家伝説殺人事件」はシリーズ屈指の作品である。

・・・と、内田氏をディスってんのか褒めてんのかわかんない内容になりましたが、内田氏のご冥福をお祈りいたします。
全然知らんかったんだけど、金曜日に e-hon から「シネマ館玖珂店より e-hon会員のみなさまへ」というメールがやってきて、「誠に勝手ながら、当店は2016年6月10日(金)をもちまして、閉店することとなりました。」なんて書いてあったので、「ええ!?」と知った次第。

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その日の夜、通津駅からの帰りに、自宅を通りすぎてそのままシネマ館まで行ってみたら、ああ、ほんまや。張り紙してあるわ・・・

そうか・・・
今週の TBS ドラマ「重版出来!」でも紙の本屋が潰れる話が出てきたが、やっぱ厳しいんやねえ。
田舎の本屋にしては、客がそんなに少ないわけでもないと思ってたんだけど、全然駄目やったんやね。

ああ、これで玖珂町内の本屋って全滅?
雑誌はスーパーで買えるけど、何より俺は、e-hon の「書店受取」の店が無くなってしまうのが悲しい。
南岩国や柳井まで受け取りにいかないといけないんじゃ利用できんわ。
それだったら、素直に広島でジュンク堂広島駅前店か MARUZEN 広島店で探して買うか、Amazon で買いますわ。

上の写真は、今日、娘の「ちゃお 7月号」を買いにいった時、店の前に立って記念撮影をしたもの(笑)

ミコー BOOKS だった頃からだから、長い付き合いだったなあ。寂しいなあ。
町田康の「告白」。
読んだのはもう 11年も前だ。今でも俺の「人生 BEST10 書籍」の中に入っているだろう。

考えさせられるものもあるが、難しく考えずにエンターテイメントとして触れても最高に面白い一冊だ。
この間、フタバ図書に行ったら文庫本になった「告白」が平積みになってた。
「お、告白やんけ?なんで今頃文庫分が平積みに?」と思ったのを記念して、6年ほど前にブクログに投稿したレビューをこっちにも転載しとく(笑)



町田康、つまり町田町蔵である。
俺の中では評価の低い男だった。実は彼がパンクバンドをやってた時の楽曲は「メシ喰うな」しか聞いたことがなく、聞いたとたん、こりゃ駄目だ・・・と思った。
スターリンがフェイクカバーした「ワルシャワの幻想」の方が百倍格好良かった。(そう言えば、大槻ケンヂも「メシ喰うな」をカバーしてるね)

・・・が、文筆家としては、彼は天才だったのだなぁ。
実は、彼が「パンク侍、斬られて候」を出した時(すまん。中は読んでません)、「音楽で成功しなかったヤツが文章に逃げて、ふざけたタイトルの本を出した」と蔑んだ視線を送っただけだったんすけど、すんませんでした。あなた様は天才でした。

文章がすごい。
音楽で言うところの「タメ」が無茶苦茶すごい。グッとためてサーっと一気に読み進めさせる。読んでるうちに、身体がウェーブを起こしかねないほどの絶妙なリズム感とパワーだ。
そして、型にはまらない文章構成。関西弁の軽い文体にだまされフンフンと軽やかに読み進んでしまうのだが、実際のところ、なんとも凝った構成になっているのである。一行書くにも、相当脳みそを使わないとこうはいかんやろ。客観描写と主人公の独話・独白がボーダレスに絡み合い見事に組み上げられていく。
この衝撃は、井上ひさしの「吉里吉里人」を読んだ時以来である。

権威主義になっちゃうが、さすが芥川賞作家。この「告白」も谷崎潤一郎賞受賞作である。

物語は、明治時代、実際にあった「河内十人斬り事件」の主犯・城戸熊太郎の一代記。幼少の頃から、事件を起こし自害するまでの一生が独特の文体で描かれてます。
時には「阿呆やなぁ」とあきれ、時には「そうそう。その感覚、俺にもあんねん。」と熊太郎に同化しながら一気に読み切ってしまいました。

これは本当にお薦めです。どうぞ。

#関西弁はほんまにおもろいね。

2005.7.12

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