仕事でお付き合いのある方から広島県立美術館で開催中の「東山魁夷 -自然と人、そして町」展の入場券を頂いたので、お袋を誘って行ってみた。
なにせ、いつも息子や娘たちの誕生日のプレゼントや食事で散財させているからたまには。もちろん、美術展の入場料の何倍、何十倍も金を使わせているわけで、こんなもんが親孝行にはとてもならないが(^^;
そもそも、俺は絵が上手い。いや、事実として(笑)上手い。ここ何年、いや十数年くらいまともに絵を描いていなので相当腕は落ちているだろうが、それでも一般人よりは相当上手い。なんか自分で上手い、上手いというのもアレなんだけど、事実は事実として書いておく。その俺の絵の上手さはお袋譲りである。
ただ、俺の子供たちにはその能力は繋がらなかったようだ。姪っ子は絵が上手いんで、絵の能力はあっちに行っちゃったか(笑)
ああ、ちょっと話がずれた。まあ、そういうわけで、我が家で絵を描いたり観たりして楽しむ人間は俺かお袋くらいのものだ。そういう意味でも、お袋以外に誘う人間もいないというわけだ。
最初に書いたように、我が家の子供たち(いや、実際は俺も含む(^^;大いに含む(^^;;;)がお袋に散財させている額はこんなもんではないが、それでもこのささやかな(俺の懐からは交通費くらいしか出してないんだけど(^^;)お誘いに随分と喜んでくれたのでよかった。
これからも遠慮なくお袋に奢ってもらえるというものです。←駄目息子?(^^;
まあ、それはそれとして(笑)、せっかくなので「東山魁夷(ひがしやまかいい)展」の話もしておこう(笑)
先日行った「川端康成コレクション展」で東山魁夷の作品を 30点近く既に観ていたので、実はそれほど期待していなかった。
個人宅(川端邸)で飾ることを前提に描かれた作品はサイズも小さく、もちろん素晴らしい作品なのだけど、それほど俺の心を震わせることはなかったのだ。
・・・が、それは東山魁夷の一面を観たのにすぎなかった。
というか、サイズのでかい絵が良い作家と、小作品が良い作家というのがいるが、東山魁夷は圧倒的に前者である。
150号ほどの大きさの「残照」や「映象」など。どちらも「はぁ~」っとため息の出る雄大さと美しさを兼ね揃えた素晴らしい作品だ。
前述したように、サイズのでかい絵ならどれでも雄大さが表現されるわけではない。そこは作家の個性。小さなサイズの絵の方が迫力のある作家もたくさんいる。東山魁夷は「でかい絵がええで」タイプということだ。
また、東山魁夷は、「日本画と洋画の間」「写実と心象の間」の作家だと思う。
その中で、俺は「洋画的表現」で、かつ「写実的」な作品にやはり魅力を感じる。細かく描き込まれた絵だ。
そのため、代表作の「道」や「青響」「たにま」などにはあまり魅力を感じない。
まあ、基本的に東山魁夷という人は「実景」ではなく「心象風景」を描く人なんだけど、その中でも「写実的」に、まるで(ものすごい量のスケッチを繰り返した結果として)「実景」のように表現された作品が好きですわあ。
「月宵」とか、あと、この人が何度も使った「湖面に写り込んだ風景」モチーフの作品群。よかったですわ。
画面の上下ちょうど真ん中を境に、実際の風景と湖面に写り込んだ風景を書いた作品。上でもちょっと触れた「映象」という作品もそのひとつ。
意識的に「写り込んだ風景も実際の風景と同じようなトーンで書き込んで」きれいなシンメトリー作品になっている。このモチーフにこだわった東山魁夷の精神を想像すると興味深い。
・・・と、思っていた以上になかなか面白い作品展であった。
あとチケット 2枚あるんで、手渡しできる人には差し上げまっせ。
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