湾岸道路
1984/01
片岡 義男
20年ぶりに読みました。(^^;
片岡義男。いやぁ、この人の書く話は、しゃれた男と女の物語が多いんですが、さすがに今となっては時代遅れでダサイと感じられるのでは・・・と思いながらこの本を開いたわけです。
いえいえ、とんでもない。男の美学というのは普遍性を持ったものなのだなぁ・・・と気づかされました。
確かに、主人公の一人である芙美子の髪型は「きれいなウェーブのうえにかなり複雑なカールをかさねあわせた」もので、まるで衆議院議員・片山さつきの世界です。(笑)
ハワイ旅行からの帰りにはいているのはナイロン製のジョギングパンツだったりします。
うん、ま、このへんの小物は今となっては確かにダサイ。でも、物語は時代を経ても、全然色あせてないんだよねえ。
まわりの小物は、当時おしゃれだったものをふんだんに配置しているんで、かえって今となってはダサイ感じなんだけど、登場人物たちの生き方は全然流行を追ってないんだよね。普遍的な格好良さを追っている。陳腐な言い方だが「自分の価値観をしっかり持った人間」なんだね、みんな。片岡の作品の主人公はそういう人間ばかり。
そういう人間の物語なんで、今読んでも古臭さを感じないんだろうなあ。
絶世の美女といきなり結婚し、そして2年足らずで自らその結婚生活にピリオドをうつ男。理由は「そういう生き方が格好良いから」。
そして男は夏が終わろうとする頃、女を置いて一人バイクの旅に出る。
置いていかれた女は、それまでの男に頼って生きていた自分を見つめなおし、自分を磨き、やがて男と同じように夏の終わりに一人バイクで旅にでる。
・・・たったそれだけの話です。
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