ちょうど、狩猟に関する一般人の誤解を解くのに良い案件

狩猟に絡む炎上事件が「まとめ」られてたので。


高校生が、バットで穴熊をぶん殴って殺した・・・という Tweet が「人として許せない」「害獣だとしても、許可なく駆除するのは鳥獣保護法や狩猟法によって禁止されている」という理由で責められ炎上したという事案。
高校生の本名まで暴かれ、現在も炎上中だそうです。

・・・で、まず、法律の部分から。

この「まとめ」でも、途中からちゃんとした識者が出てきて説明しているとおり、これは法律的になんも問題ありません。

俺もちょっと前だけど、祖生のソフトボール界のナベツネことT口君とこんな会話をしました。

「祖生にヌートリア(大きなネズミのような外来生物。狩猟獣です)がいる。島田川の◯◯の場所にいた」
「そこは猟は可能だけど散弾銃使えんから、T口君、自分で獲りんさいや。食ったら割りと美味いらしいで」
「狩猟免許も無いのに獲っちゃいけんじゃろう」
「銃や罠みたいに免許がいるものは使えんけど、草刈り鎌を突き刺して殺すとか、棍棒で叩き殺すのはかまわんで。何の許可もいらんで。ただし、11/15~2/15の猟期だけの。猟師じゃなくても猟期の制限は受けるで」
「へぇ~。まあ、捕まえんけど」

そう。法的に「銃、網、罠といった猟具や、弓以外(日本国内ではボウガンなど『弓』を使った猟は一切認められていません。弓猟の免許というものも存在しません。何人(なんびと)も日本国内では弓は使えないのです)の、いわゆる法定猟具以外のものを使った猟は国民全てに認められてます。
ただし、狩猟免許を持った猟師と同様、猟区、保護区などの制限は受けます。 

だから、この高校生も、狩猟を制限された区域で穴熊を撲殺したのであれば法的に裁かれます。

ちなみに、多分あなたたちが住んでる家の周りも、全て狩猟区域(狩猟可能な場所)です。
ただし、住宅密集地では銃の使用が制限されるなど、環境によってなんらかの制限が発生しているかもしれません。
狩猟区域でも、上で書いた弓の他にも、爆薬などを使った危険猟法も禁止されています。

・・・が、「バットで撲殺」が制限されている場所の話など聞いたことがありません。
つまり「狩猟期間中に、狩猟可能な場所で、狩猟対象の獣(穴熊)をバットで撲殺した」高校生には何の罪も無いということです。

誤解のないように言うとくけど、「動物の命を奪うことで悦びを感じる」ようなヤツは「法律違反」をしていなくても気持ち悪がられたり、倫理的な面からバッシングを受けたりってことは当然あると思うよ。
俺だって、欧米の方の「トロフィーを手に入れるためにゲームで動物を殺す」ハンターのことを認められないし。

でも、「動物がかわいそう!!」とか言って、高校生の本名を晒したりするのは違うよな?
高校生のやったことはお前らにとって許せないことかもしれないけど、法律を違反していない以上、「こういうやつ、俺は大嫌い」「こういうことをするやつを、私は気持ち悪いと思う」というレベルで文句を言うくらいしか、お前らには許されてないってことだ。

「人として許せない」って、この高校生のアカウントに怒りの DM を打つ・・・なんてのは許されても、高校生のプライバシーを晒すのは、よっぽどお前たちの方が法的にグレー、あるいは真っ黒だよな。

ホント、なかなか狩猟に関する一般人の理解が進まないんで(行政の責任だと思うけどね)、この炎上事件が良い契機になればいいんだけどな。

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コメント(2)

この件でもめたりさわいだりしている連中が、どの立場であれ、醜いのは確か。
命とは何か、命のありがたみはなにか、権利とは何か、権利を守るということはどういうことなのか、を解っていないから、もめてるわけで。

ただ、それ自体はとても苦しいことだから「そんなこと知らなくてもいい世界」を作ろうとした結果が現代であり、その方法は「誰かにその苦しさを押し付ける」ことで成り立っていて、当然、それを進んで受け入れている人がいるから成り立つのである。

そうですね。
ネットの普及で以前なら「知らないまま」でも居られた情報が否が応でも耳や目に入ってくる時代なので、そこでちゃんと考えないと脊髄反射しちゃって情けない「炎上火着けじじぃ、ばばぁ」ぶりを世間にさらしてしまいます。

自分の好悪感情を一旦置いて、冷静に判断できる力がほしいです。自身も反省ですわ(^^;

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このページは、shinodaが2016年12月20日 00:44に書いたブログ記事です。

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