しょっぱなのハイジャック事件から始まって、一見つながりはないような色々な出来事、事件が、最後にひとつの真実に結びついていく・・・という構成の物語です。
最初から新興宗教団体(明らかにオウム真理教と、髭面のデブ教祖がモデルです(笑))が何か悪いことをしているのがわかっているんですが、それが何なのか、また、それがどう明らかになっていくのか、非常にドキドキワクワクしながら読み進めることが出来ました。
途中で起きる不思議な出来事も、ちょっと無理すればそれだけで1本の作品に出来そうです。伏線もあちらこちらに散らばっています。なので、何度も前のほうに戻って読み返して、ああ、こういうことなのか・・・と。
この作者がえらく寡作なのも理解できます。
・・・が、そこまでワクワクドキドキしただけに、最後に暴かれた秘密もトリックも「あ、そう。ふーん」ってくらいの物足りなさで・・・残念・・・
まあ、黒幕が新興宗教団体ってだけで、動機が全て「狂ってるから」で片付いちゃうからなあ。(まさにオウム真理教が起こした数々の事件が、本人たちは色々考えて起こしたつもりなんだろうけど、実際は「教祖も信者も精神的に病んでたから」で片付いちゃうみたいな)
そのせいで、新興宗教団体を黒幕にすると、ラストの盛り上がりはどうしても尻すぼみになっちゃうんだよね。
推理の一つの魅力は、「どうして、あなたがこんなことを!?」みたいな部分にあるけど、新興宗教団体には「どうして?」という驚きを持ちづらいんだよね。基本的に教祖や信者が「狂ってるから」で終わっちゃうので。
だから、最後の最後に単なる「パズル解き」の物語になっちゃったんだね。残念。
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