「想像ラジオ」 いとうせいこう 著
頭の5ページくらい読んだところで放置してて、いきなり昨日が返却日だったことを思い出し、今日の 9:30 まで返しに行けば大丈夫だから、夜、獺祭でも飲みながら読了するのだ!・・・と読み始めたものの・・・駄目でした(^^;
獺祭飲んだらいい気分になって寝ちゃった(^^;
なので、冒頭から 1/3 くらいと最後の方しか読んでないからまともな感想は書けないが、図書館で借りた本のメモなんで、一応読んだってことだけ書いとこう。
内容は、東日本大震災で大きな津波に流され、山の上の杉の木のてっぺんに引っかかったまま亡くなった男性が、DJ となって放送する「想像ラジオ」という番組とそのリスナーの物語。ちょっと想像つかんかな?想像ラジオなだけに(^^;
電波ではなく霊波で届くラジオ番組だね。
その男性は、放射能汚染で立入禁止区域に指定された山の木の上に引っかかったままで、いつまでも木から降ろされることもなく、空を見上げたままそこで「想像ラジオ」の放送を続けている。
こういう被災者もきっといるんだろうね。
木の上に引っかかってるかどうかはわからないが、立入禁止区域の土の下で眠り続けている人とか。
「木の上に引っかかったままの人がいる」という噂話が被災地で聞かれるみたいな記述もあって、もしかしたら本当にそういう噂話があって、それを題材にしたのかもしれない。
何にせよ、恐ろしいことだ。
それがまるっきり都市伝説のように否定しきれない、それほどの災害だったんだもんな。
なのに、それを忘れて「たかが経済のために」原子力発電所を動かそうとしている金の亡者どもってなんなのって思うわな。こういう本を読むと。フィクションであろうと。
で、いきなり話は東日本大震災から離れちゃうんだけど、この物語の中で、木の上の人の防水携帯に知人などから無事を確認するための着信が何度もあるんだけど、その部分を読んだ瞬間、頭の奥の方がツーンと痛くなった。
10年ほど前に自殺した元同僚を思い出したのだ。
サラリーマン時代の俺の同期だったんだけど、あの頃彼が関わってた仕事がむちゃくちゃで、そりゃ精神だって病みますわって感じで、今でもあんな仕事を受注した会社を俺は蔑んでる。愚かだなあと。お陰で人が一人死んだんやでと。当時の所長なんか殺人罪で逮捕されてもいいとさえ思ってるんだけど、まあ、その話は置いておいて。
俺が独立した翌年くらいか、当時借りていた三篠の事務所で独り仕事をしていたら、彼の奥さんから、昨日から彼が会社から帰ってこないんだけど何か心当たりはないか・・・と電話があった。
心配する奥さんに、彼は強い人間なので何の心配もないよと答えて、それから俺も彼の携帯に何度も電話した。最初の何回かは留守番電話に切り替わったので、「おーい、みんな怒ってないから帰ってこいよ。仕事が嫌になったのならうちの会社でこき使ってやるから早く帰って来いよお~」みたいな軽い調子でメッセージを残していた。
二日目くらいから、呼び出し音もしなくなった。
思えば、この時、彼の携帯はバッテリー切れしてたんだな。
誰も来ない山の中で首を吊った姿で彼が見つかったのは一週間後。それまで、俺たちが何度も電話をする度に、彼のスーツのポケットの中で、携帯が着信を知らせて光ってたんだろうなあ・・・と。
未だ木の上や土の中で、見つけてもらえず苦しんでいる多くの被災者と、救うことの出来なかった同期の彼の冥福を祈ります。