美術・芸術: 2020年1月アーカイブ

1/4 午後から「ひろしま美術館」に「岸田劉生展 Kishida Eyusei -写実から、写意へ-」を観に行った。

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美術の教科書等で見たことがあるだろう。そう、あの「麗子像」の作者である。
妙に四角い顔をした、あの可愛いよりも怖さが先に立つ(笑)「麗子像」である。

麗子は岸田劉生の実の娘である。劉生は随分と可愛がっていたようだ。写真が何枚も残されているが、「麗子像」のイメージとは違って可愛らしい顔をしている。

しかし、あの「麗子像」は飾られていなかった。

「麗子像」と呼ばれる絵は何枚も存在しており、あの有名な絵はその中のひとつ「童女図/麗子立像」である。そして、それと同じくらい迫力があるのがウッドワン美術館が所蔵する「毛糸肩掛せる麗子肖像」である。

パンフレットにもこの絵が載っていたので、すっかり展示されていると誤解していたが、実は「毛糸肩掛せる麗子肖像」は 11/9~12/8 の一ヶ月間だけ展示されていた「特別出品」作品だったようである。
ちなみに、展覧会そのものは 1/13 まである。12/9以降の約一ヶ月はあの麗子像のない「物足りない一ヶ月」であり、まさにその「物足りない一ヶ月」に俺は訪れてしまったようだ・・・残念。

まだ麗子が子供のときに劉生は亡くなるが、その前に 16歳になった麗子を想像して描いた 2枚の「麗子像」が残されており展示されていたが、あの「毛糸肩掛せる麗子肖像」の迫力はなかった。

そもそも、俺は岸田劉生の油絵は今ひとつだと思う。
劉生の絵は、掛け軸などに描かれている滑稽な日本画が味があって良い。

いや、ほんと、物足りないのでついでに常設展示のマティスの「赤い室内の緑衣の女」を始め、ピカソやシャガールの絵で眼の保養をして帰ったのであった。
「ひろしま美術館」の常設展示は素晴らしい。
久しぶりに広島市現代美術館に。

前回ブラっと寄ってみたときは特別展をやってなかったので、久しぶりの特別展「アカルイ カテイ A Bright Home」を観た。

ただ、

この展覧会では、明治大正生まれの作家から1980年代生まれの作家まで11人を取りあげ、
彼女/彼らの創作活動のなかに家庭や家族がいかなる影を落とし、いかなる光を照らしているのかを見ていきます。
それによって「明るい家庭」をアップデートし、この先の「アカルイ カテイ」実践の方法を探ってみたいと思います。

という展覧会だったのだが、正直そのテーマはよくわからなかった。

なにせ、例えば小西紀之氏の作品などは「家族・家庭」が「作品のモチーフ」だが「テーマではない」のだ。
どの作品も、(顔をくねくねと曲がった線で塗りつぶされた抽象的な絵だが)大人に寄り添う子供の姿が描かれているのが想像できるが、作品の名前はどれもこれも「無題」ばかりで何が言いたいのか全然わからん(笑)
多分、家族を描きながらもその関係性を希薄にして、純粋に人と人が寄り添う「形の面白さ」を楽しんでいるだけじゃないのか???

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まあ、というわけで展覧会そのもののテーマの理解はできなかったのだが、展示されている作品の中には素晴らしいものがあり観る価値は十分ある。

上記の小西紀之の作品も素晴らしいが、俺が一番心躍らせたのは江上茂雄氏の作品だ。
貧乏故に母と二人で親戚の家に居候し働き続けた氏は、クレヨンとクレパスを画材に絵を描き続ける。初めて個展を開けたのは定年退職後だ。
悶々とした思いを叩きつけるようにクレパスとクレヨンで厚く塗られたその絵はまるで油絵のような立体感と艶めかしい色合いを持つ。

特に「母の赤きタンス2」が良い。
家の中の部屋の一角を描いた作品だが、その色の鮮やかさと奥行きある立体感に驚かされる。

観に行ってよかった。

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