美術・芸術: 2022年8月アーカイブ

先日、広島県立美術館に「安野先生のふしぎな学校」展を観に行ったときの話。
美術館の入り口にポルシェカレラが飾ってある・・・

正確には「ポルシェ911 カレラRS 73年式」。いわゆる「73カレラ」。
走りを追求し、内装がしょぼい「ライトウェイト」モデルだ。「サーキットの狼」で早瀬佐近が乗ってたやつやん!!

え?「サーキットの狼」展でもやってるの???と、そんなことはないとわかっていても思ってしまった(笑)

20220730_carrera1.jpg撮影可能なのでパシャパシャと写真を撮りつつ説明書きを読むと、「菅井汲(すがいくみ)」という神戸生まれの画家の愛車だったポルシェだって。
なんか、画家とポルシェカレラという組み合わせがしっくりこない(笑)
絵描きはワーゲンビートルとかフィアットチンクエチェントとか乗ってそうなんだけど(笑)

しかし、その後、所蔵作品展「広島県立美術館のふしぎな学校」の「えいご」のコーナーに飾られていた菅井汲画伯の作品を観て思った。「格好良い。こんな絵を描く人なら、ポルシェカレラに乗っててもええわな」と(笑)

記号が並んだような、まあ、前衛芸術だよな、そんな、おしゃれでエッジの聞いた絵。
フランスで大人気作家となり、カレラを買えるくらい儲かったのだそうだ。

うむ。俺もポルシェを買えるように、絵の精進をせねば・・・と、俺は西バイを走るキャリー(軽トラ)のアクセルを踏みつつ思ったのであった。画家ではないけど。もう長いこと趣味の絵も描いてないけど(^^;;;

お盆休み中の 8/13(土)は、広島銀行岩国支店の横に立つ看板を見て気になっていた「THE新版画 版元・渡邉庄三郎の挑戦」という特別展を観にひろしま美術館にでかけた。

版画そのものに今まであまり食指が動いたことはなかったのだが、看板にはられたポスターを見ると、まるで絵画のような、今までの俺の「版画の認識」を覆すような作品で興味を惹かれたのだ。

20220813_hanga1.jpg「新版画」とは、渡邉版画店の店主・渡邉庄三郎が色々な絵画を観て、これは版画にできそう!という絵と絵師を見出し版画化したもの。明治後期から昭和初期にかけての作品が多い。

浮世絵づくりで使われていた日本の版画技術と、庄三郎氏が編み出したバレン刷りの技術で作られた版画はたしかに「新版画」であった。

例えば絵画で言う印象派だのキュービズムだのといったカテゴリーがあるわけではない。
まるで浮世絵のような版画もあれば、西洋画のようなものもあり、「これは明治、大正期の『わたせせいぞう』やぁ~」と叫んでしまいそうなイラストっぽいものもある。どれも渡邉版画店という工房の高い技術と芸術性をもった職人たちの手によって生み出された、同じ日本人として誇りに思えるほどの芸術作品である。

うまく説明できないな(笑)
ぜひ「版画」に興味がない人も観てみることをおすすめする。
サーファーならチャールズ・W・パートレットが原画を描いた「ホノルル浪乗り」「ホノルル浪乗競争」はぜひ観てほしいし、伊藤深水の「避暑地の昼」は昭和16年のわたせせいぞうだ(笑)

岩国の人には川瀬巴水の「周防錦帯橋」をお勧めする(笑)

もう、3週間くらい前の話なのだが、山口県立美術館に「庵野秀明展 HIDEAKI ANNO EXHIBITION」を観に行ってきた。

20220724_anno1.jpg
事前予約制、当日券は余っていれば購入可・・・という話だったので、当日の朝に「チケットぴあ」で 11:00~12:00 入場予定(あくまで入場時間であり、この時間しか美術館に滞在できないという話ではない)で券を予約。玖珂ICから山陽自動車道に乗る前に、IC近くのセブン-イレブンで発券して美術館に向かった。

けっこう盛況だとは聞いていたので入り口で並ぶんだろうなあ・・・と思っていたが全然そんなことはなくて、俺は 10:30頃には現地に着いてしまったので並んだのだが、並んでいるのは俺一人であった・・・(^^;

10:45頃には場内に入れてくれて、一階のフロアで11時まで待たされるという話だったのだが、「今日は展示場内もそんなに混んでいないので、もう入っていただいてけっこうです。」と、10:50には展示場に入れてくれた。
このとき、一緒に入場したのは 4人だけ。あり?盛況じゃないの?(^^;;;

まあ、先に言っておくと、単に11時ぴったりに入場する人が少なかっただけで、後からどんどん人が入ってきて、やっぱり盛況だったよ。

で、入場早々、最初の展示室で 30分くらい足止めを食らう。
何かというと、そこには「庵野秀明が影響を受けた作品の数々」と撮影に使われた小物等が展示されていたのである。それもレプリカではなく本物が(レプリカもあるけど)。

「帰ってきたウルトラマン」のスーツや、「惑星大戦争」の轟天号のミニチュアや、「ジャンボーグA」のジャンカーZのミニチュア・・・いや、全部あげたらそれだけでブログが一本出来上がってしまう。
俺の大好きな「宇宙戦艦ヤマト」関係の資料もたくさん・・・

まだ、「庵野秀明」の作品にはたどり着いていない、最初の部屋で 30分以上の時間を費やす・・・。本当は一時間くらいいてもよかったんだけど、そんなことをしたら最後までどんだけ時間がかかるかわからないから後ろ髪を引かれる思いで次の展示へ移動したのである・・・(笑)

で、結局、全て観るのに費やした時間は 3時間半であった・・・(^^;
いや、本当はもっとじっくり観たかったのだが、さすがに腹が減って、腹が減って・・・(^^;

20220724_anno2.jpg
「ダイコンフィルム版 帰ってきたウルトラマン」とか、庵野氏が高校時代に撮った 8mm作品とか、大阪芸大時代に作ったアニメ作品とか、けっこう映像作品の展示も多いので、やっぱ観るのに時間がかかるのよね。

まだやってる展覧会なのでネタバレするのもアレだから詳しい話はかかないけど、俺と同じ昭和40年前後生まれの熟年世代は絶対観に行って損はない展覧会である。

庵野秀明氏が影響を受けた作品の数々には俺たちも影響を受けている。
そういえば、俺が高校2年生のときに文化祭用に撮った「包淋(パウリン)間一髪」というタイトルのビデオ作品も、中国人留学生と不良たちの抗争を描いた当時流行のヤンキー物&大好きだったブルース・リー的拳法物にする予定が、最後は教師が変身した「ゾエゾエマン」という化け物と主人公が戦うという特撮物テイストな展開になっていた(笑)

俺たちは 60~70年代の特撮物の呪縛からは決して逃れられないのである(笑)

先日、広島県立美術館で「アンノ」氏のコレクション展を観た。

「ああ、『アンノ』と言えば、庵野秀明展ね。どう、面白かった?」

ちがーう!!俺が観たのは、「安野光雅美術館コレクション 安野先生のふしぎな学校」である。

20220730_anno1.jpg安野氏は、いずれ山口県に編入予定(嘘(^^;)の津和野町出身の画家・・・というか、絵本作家?いや、算数や英語の学習教材に使えるような絵本も描いているクリエーターである。
ああ、Wikipedia見たら、「日本の画家・装幀家・絵本作家」って書いてあった。

もちろん、俺は存じ上げなかった(笑)
展示内容は絵本の原画などが多く、子供連れやアベックで観にいくのが良い感じ。
正直、周りに熟年男性一人の客は俺だけであった(笑)

でも、ふらっと立ち寄った美術館でやっている特別展はなるべく観たいと思っている。
今回の展覧でも、自分で絵を描く上で大変参考になることがたくさんあった。
自分が興味無いと思う絵でも、プロの絵は絶対になにか自分の絵に活かせるテクニックであったり表現方法であったり目の付け所であったり、何かしら糧になるものが存在する。

そして、俺のような軽薄な人間は、簡単に作品の影響を受けて進む道がブレてしまう。

俺、絵本作家になるよ・・・嫁さんに相談しなきゃ。

2022/4/27~6/19 まで、山口県立美術館で開催されていた「野田弘志-心理のリアリズム」展の話。

5/27に遺族会と高P連の用事で山口市に行ったのだが、途中で少し時間が出来たので、高P連の会議が開かれる教育会館の近くにある県立美術館でちょっと時間をつぶそうかと。

20220527_noda.jpg
実際、野田弘志氏のこともあまり知らなかったし、いわゆる「写真と見紛うような精密な絵」というのにもあまり興味がないので、今から思えば野田氏に大変失礼だったのだが、「時間つぶし」以外の理由はなく観覧したのであった。

いや、ほら、YouTubeなんかでも、鉛筆で写真みたいな絵を描く過程を映してるようなのあるじゃん。出来上がった作品見ても「すごいなあ」とか「俺には書けんな」とは思うんだけど、感動はないよね。よく言われる「それって写真でよくね?」ってやつ(笑)

・・・が、すごかったです。野田画伯の作品の数々。単純に写真をトレースしたわけではなく、「絵だからこそ」のエッセンスがちゃんと入っている。

如実にそれを感じたのが「THE-1」などの裸婦画である。

まるで写真のように精密に描き込まれた裸婦画なのだが、観ていると、海綿体に血が流れ込むのを感じる。

これ、女子にはわからないと思うが、決して男というのは「女の裸の写真(絵)」を見たら必ず興奮する・・・というものではない。いわゆる「芸術的な裸の作品」にはほぼ身体は反応しない。
例えば「意識高い系」の女優とかが「女が見ても感動できるヌード写真」を発表したりするじゃん。その女優のファンは喜ぶかもしれんけど、たいがいの男はそんな「芸術、芸術した裸の写真」なんかには 1mmもチン、いや、肉棒、いや、ペ、ペ、そう股間のペンは動かないのである。

壁にかけられた野田画伯の作品も「そういう芸術的ヌード写真」のようなポーズの裸婦が描かれているだけである。まるで写真のような精密さで。
しかし、俺の股間のテスターの針はピクリと動いたのである。

つまり、まるで写真のようでありながら、写真では出せないエロスを野田画伯の絵は醸し出しているわけだ。
俺は、「精密な絵は写真を超えられない」派だったけど、考えを改めるしかない。写真を超えた「写真のよな絵」は存在するのである。

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