美術・芸術: 2023年5月アーカイブ

5/6(土)。ひろしま美術館で「ピカソ 青の時代を超えて」を観たあと、今度は広島県立美術館に移動。

広電を八丁堀で降りて、大雨の中、てくてく歩いて上幟町に移動。こんなことなら素直に城南通りに出て歩けばよかった・・・と思ったがあとの祭りである。

20230506_kenbi1.jpg目的は 6/11(日)までやっている「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」展を観ることだ。

と言っても、川瀬巴水(かわせ はすい)という人を知っているわけではない。最近はなかなか休日に美術館へという時間が取れないので、特別展をやっているのなら観ておこう・・・くらいのノリで向かったのである。

で、会場で作品を観て初めて気づいた。と言うか、思い出した。「ああ、新版画の人かぁ~」と。

以前、ひろしま美術館で「THE新版画」展が行われたとき、このブログでも『岩国の人には川瀬巴水の「周防錦帯橋」をお勧めする(笑)』なんて書いてた(笑)

渡邉版画店の店主・渡邉庄三郎が生み出した「新版画」は、浮世絵で培われた日本の版画技術に、まるで絵画の筆致を感じさせるバレン刷りの新技法を組み合わせた版画の流派のひとつだが、川瀬巴水画伯はその代表作家である。

川瀬画伯の絵を、職人たちが「新版画」に仕上げていく。版画に合う、合わない絵があるが、川瀬画伯の絵は版画との親和性が高く、かなりの人気を博したようである。
実際、今でも通じる洒落たイラストのテイストがある。古臭さがまったくない。

俺が好きなのは夜の風景を描いたものだなあ。古い日本の風景。家の明かりと周りの闇のコントラストが素晴らしい。「夜の新川(東京十二題)」とか。

月明かりが木の葉の影を幹や側のお堂に落とす「秋田八郎潟」も良い。

夜の風景ではないが、「東海道風景選集 浜名湖」は湧き上がる雲とそれを移す水面が、新海誠監督作品を彷彿させるで(笑)

正直、ピカソ展より見ごたえがあったわ(笑)。イラストレータを目指している若者にも絶対参考になるから観てもらいたい美術展だったなあ。

美術界のビッグネーム、パブロ・ピカソの90年の画業を追った回顧展「ピカソ 青の時代を超えて」がひろしま美術館で開催されている。開館45周年記念の展覧会だって。

岩国も広島もジャージャー降りの大雨だった 5/6(土)に、一人電車に乗って観に行ってきた。
いや、マジでクソ天気が悪い日で、まともな大人なら外出なんかする日じゃなかったんだけど(笑)、この展覧会、5/28(日)までなのだ。
5月も土日はレースの計測の仕事が入っていて、5/28 も仕事で秋吉台だし、この日を逃すと観に行けなさそうなので、重い腰を上げたという感じ(^^;

20230506_picaso1.jpgまあ、ピカソはメジャーすぎて、作品は色々なところで目にする機会も多いし、中にはもう「ピカソはええわ。今更だわ」と思われている人や、「わけわからん絵を描く人でしょ?」と敬遠している人もいるだろうが、俺としてはやっぱ観る機会があれば観ときたい作家である。
やっぱりピカソって絵がむちゃくちゃ上手いしね。

キュビズムの研究に傾倒していた頃の作品を観て「わけわからん絵」と言われているのだろうが、抽象画と比べると全然わかりやすい。要はあの頃の作家の根底にあるのは「写真」との戦いである。
物を写実的に描くのでは写真には敵わない。だから「絵」ならではの表現を画家たちは模索していた。印象派の画家然り、キュビズムで「二次元の中で立体を表現する方法」を模索したピカソしかり。
「わけのわからない絵」は、一枚の絵で「写真にはできない立体表現」をしようとしたもの。もちろんその発展として「人間の多面性を表現」とか「色々な心情を表現」とか出てくるんだけど、根本は「写真にできない表現」を追求した結果が「わけのわからない絵」なので、そう考えてみると、少しは「わけわからない感」もなくなるのでは?意味があるのよ。

・・・と偉そうに書いたけど、全部俺の独断なので信じないでね(笑)。興味がある人は自分で調べてみましょう(笑)

館の中央のあの丸い常設展示室4つを使った展示なので、作品数そのものはそれほど多くないが、なかなか見ごたえはある。
特に「禁止」と書いてないかぎり、作品を写真に収めることもできるんで、説明文をスマホで撮っておいて、あとでゆっくり読むこともできるぞ。
まあ、俺はほとんど撮らなかったが(笑)

いや、しかし、なんだかんだ言っても、やっぱキュビズムの絵を観るのは疲れる(おいっ(笑))

最後に、常設展示のロートレックやマティスを観て心を落ち着かせ、俺は館を出たのであった(毎回最後はそうだな(笑))。

山口県立美術館で開催されている特別展「佐藤健寿展  奇界/世界」を観てきた。

20230501_satou1.jpgと言っても、わざわざそれで山口市まで行ったわけではない。この日は高森みどり中の募集停止問題について県教委の担当者と話をする予定があり山口市に入った。しかし、面談の予定まで少し時間があったので、県立美術館を訪ねたのである。

ただ、時間が・・・。13:30~14:30 の一時間ほどしか鑑賞の時間がない・・・全て観れるのか?

結論から言うと、やっぱり時間が足りなかった。最後の二部屋くらいは駆け足で通り過ぎた感じ(^^;;; 二時間はかけて観るべき作品量だね。

マッドメンの写真や、アフリカ原住民の仮面など、諸星大二郎作品を好きな人なら喜びそうな作品が沢山あるので、興味のある人はぜひ(6/11までなので、まだ一ヶ月ある)

そういえば、嫁さんもこの写真展は観たかったそうだ。佐藤氏というのは「クレイジージャーニー」というTV番組によく出ていた有名人なんだね。一度もその番組を観たことがなかったので知らなかった(^^;

俺的には、最近始めた写真趣味の参考になればと思っていたのだが、そっちはあんまり・・・だった。

いや、佐藤氏の写真技術はもちろん高いものがあり参考になるんだろうけど、俺は写真(他人に観てもらう作品という意味の写真)は大きく二つに分かれると思う。「被写体そのものの存在が作品になる写真」と「なんでもない被写体を技術で作品にした写真」である。

前者は報道写真(ピンボケだろうと決定的瞬間を捉えていればピューリッツァー賞は取れる)や佐藤氏が撮っている「普通の人は目にできない光景」など。秘境写真もそうだし、有名人の日常や、バックステージの様子を撮った写真など。

後者は「どこにでもある物や風景を構図や光の向き、露光時間、シャッタースピードなどを考え、駆使し、なんか感動的な絵面に仕立て上げたり、本来の価値以上のものに見せたり」という写真で、俺たち市井のアマチュアカメラマンが撮れるのは主にこっちだ。

佐藤氏の写真は圧倒的に前者である。もちろん高い技術の上に撮られているのはわかるけど、もう、被写体のパワーがすごくて、ああ、こういう角度で撮って「巨大感」を出してるのね・・・みたいな感想はさすがに出て来ない(^^;;
というわけで、「自分が写真を撮る参考に」という点ではいまひとつだったというわけだ。

でも、本当に面白い世界の風景に出会える、楽しい写真展だと思うよ。

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