周防大島の神浦にある怪しげな店をご存知だろうか?
伊保田港でエサ釣りをする人は、この店で餌を買ったことがあるかもしれない。しかし、ルアーオンリーの紳士である俺は、この横を通りながら「なんか、小汚い廃墟があるなあ・・・あ、なんか営業はしてるんだな、この釣り餌屋は・・・」くらいにしか思っていなかった(笑)
よくよく見ると、鮮魚店なのね。しかも、食事も出してるのね・・・(笑)
ということで、2/20~21の逗子ヶ浜キャンプの帰りにN◎君と寄ってみたのである。
店に入って壁にぶら下がるメニューを見ると、食事は「うに丼」1,900円と「海鮮丼」1,600円しかないようだ。なかなか良い値がするな(笑)。日によって中身は微妙に違うようで、多少の値段の変更があるようだ。
店に入って「こんにちわー」と声をかけるが誰も出てこない。
この店は掘っ立て小屋だけど(失礼)横に長くて、食事処は右の端、真ん中が鮮魚店で左端が店員の休憩所になっているようで、どうも声が聞こえにくいようである。いや、まあ、客として色々言いたいことはあるだろうが(笑)、諦めず声をかけてくれ。
そして、海が見える窓辺の席(と書くと、海辺のカフェみたいなものを想像するかもしれないが、床がが傾いて斜めになってるし、窓は潮風で白く曇ってるし、枯れたススキのような草に視界を遮られるし、手作り感がすごくて初期の「彩龍」を思い出させてくれる(笑)。まあ、それでも景色は良い(笑))に座りけっこう待っていると、大将とバイトの女子高生(かな?)が盆に載った海鮮丼セットを持ってきてくれた。
この店の雰囲気にそぐわない若い娘の登場にしばし呆然とした後、丼の中に目を移す。
茹でエビ、サーモン、タコ、サザエ、しめ鯖、とり貝、イカ、なにかの貝の給水管とかにきゅうり。
うーん・・・得なのかどうなのか?「山芳亭」の「特選海鮮丼」が 1,728円だからなあ。この内容で 1,600円と比較するとどうなのか?
不誠実な商売が原因で人気が急落、すでに潰れてしまった「しまねお魚センター」の刺身定食やスーパー天丼と比べるとお得感はあるんだけど、びっくりするほどの「やっぱり周防大島は魚が安くて美味しいね!」的な驚きはないなあ。
そして、俺とN◎は「サーモン入ってるな・・・」と目で語り合った(^^;
「地の物で作った丼じゃないんだ・・・」と。ネタから周防大島らしさはほとんど感じない。日本全国、どこの食堂で海鮮丼を頼んでも出てきそうな内容ではあるな・・・と。
いや、否定的な書き方をしているが、じゃあ、美味くなかったのか?と言うと全然そんなことはなく、どのネタも美味かった。地の物じゃなくても、鮮魚店の大将の目利きで仕入れてきた魚は美味いに決まっている。「しまねお魚センター」の食事は大して美味くないのに高いという最悪なものだったが、ここの海鮮丼は間違いなく美味い。俺たちは「これで全部地の物だったらなあ」と贅沢を言っているだけである(笑)
つーか、セットのハマチの刺し身が最高。俺の人生で一番美味かったハマチだ。
状態が絶妙なのである。ちょうどいい熟成。ぷりぷり感は残しつつ、しっとりとした舌触り。感触が良い。そして味も良い。ベストです。
「刺し身、めっちゃ旨やな」とN◎に話しかけると、彼も黙って頷いたのであった。
あさりの味噌汁の味が薄かったのは残念だったけど、満足できた昼飯だった。
支払いの時に大将が一杯 100円引いてくれて、二人で 3,000円だった。1,500円のセットであの内容なら十分だろう。居酒屋なら、あの刺し身だけで 6~700円取るで。
というわけで、まあ、普通に美味い値段相応の食事をとることができた。
あの個性的な掘っ立て小屋の中で、普通に美味い海鮮をいただけるということが、実際は驚くべきことなんだよな(笑)