初めて博多で呑んだ夜。
せっかくなので九州北部の日本酒が飲みたいなあと思って天神の街を歩き回ったのだが、なかなか良い店がない。
もう、焼酎ひっかけて帰るか・・・と思っていたとき、親不幸通りを少し入ったところで、やっと良さげな店を見つけた。
店の前に沢山の日本酒の空壜が並べられ、「おすすめ日本酒」という黒板が立っている。そこに書かれている日本酒だけで 18種。これは良い日本酒に出会えそうな店だ。
「紫さくら」
古民家(あとで聞いたところ、築100年以上経っているそうだ)を改装した佇まいも良い。それでいて、「SHIZAKURA」とローマ字で書かれた看板が堅苦しさを和らげている。これなら一人で入っても大丈夫そうだ(笑)
入ったとたんに「うちは一見さんはお断りしとるんどすえ、どすえ、そうどすえ」とか言われたらいやだからな。いや、ここは京都じゃないけど。
この佇まいから予測できないのだが、店主はヒップホップ系ファッションに身を包んだお兄ちゃんである(笑)
完全に「美味い日本酒を飲ませる小料理屋」な雰囲気ゼロである。「ここに来たらガンジャがあるって聞いたんだけど」って声をかけたら、じっと俺を値踏みするように見つめたあと、「奥へどうぞ」って隠し部屋に連れて行ってくれるような、そんな感じ(笑)
店員のお兄ちゃんもやっぱりヒップホップ系だ。でも、二人ともフレンドリーかつ丁寧な口調で接してくれて居心地が良い。
よくこのブログでも言ってるんだけど、俺、馴れ馴れしくタメ口で話しかけてくる田舎のドライブインのおばさんみたいなのが本当に嫌いなのよ。それはちゃんとした接客が出来てないだけで、フレンドリーとはちゃうぞ!といつも思う。
そして、こんなお兄ちゃん(偏見!!すんません(^^;)なのに、出てくる料理のなんと繊細なこと!
見た目もきれいだし、へんな雑味も入り込まず純粋な素材の味がそのまま生かされている。
そうした料理を楽しみながら、日本酒は「大賀(おおが) 純米吟醸60」(大賀酒造:福岡県筑紫野市)と「繁桝(しげます) 大吟醸」(高橋商店:福岡県八女市)の二種をいただいた。
どちらも古い歴史を持った酒造所だ。大賀酒造は延宝元年(1673年)、高橋商店は享保二年(1717年)の創業。どちらも300年以上の歴史がある。
味は・・・すまん、すまん。いつものことながら「美味かった」という記憶しかない。
どちらも料理によく合っていて、食中酒として料理を引き立ててくれた印象。
いいのだ。細かい記憶が失われようとも、このとき「美味い」と思ったのならそれは幸せだったということで、それでいいのだ(別のエントリーでも同じこと書いたな(^^;)
いやぁ、本当に飛び込みで入った店で、しっかり福岡の夜を楽しむことができた。
人生初めての博多での一杯が「紫さくら」でよかったと思った。
・・・といいつつ、他にも博多の店を色々経験してみたかったので、30分ほどで店を出た。出口まで見送ってくれる心遣い。ヒップホップ系ファッションの若者が!(偏見!(^^;)
ところで、「紫さくら」なのにローマ字の看板は「SHIZAKURA」。どっちの読みが正しいのか・・・(^^;